眠りSCANとは
眠りSCANとは介護ベッドに設置したセンサにより、体動(呼吸、心拍など)を測定し、睡眠状態を把握することにより、生活リズムの改善や転倒等の対策などにお役立て出来る介護ロボットです。(厚生労働省指定)
【設置、導入に至った経緯】
当施設では転倒や転落防止の為に、徘徊感知器(マットセンサー等)を設置し、リスク管理を行ってきました。
ナースコールの対応を行い、徘徊感知器からのコールに備えながら、3台のPHSで運用してきました。徘徊感知器は、ただの寝返りで作動する事もあり、調整が難しく、入所者様が行動を起こしてからのコールである為、平屋建て80床の当施設では、職員が長い距離を駆け付ける場面が多く、対応が間に合わずに転倒に至った事や、職員の心身への負担が非常に大きく、長年課題となっていました。
この様な介護者への負担等の問題は国も予測しており、介護ロボットの導入を推奨しております。
【眠りSCANの設置】
施設全域のWi-Fi環境を整備し、転倒リスクの高い入所者に眠りSCANを設置しました。
覚醒時、起き上がり時、離床時のいずれかでのコール設定が可能で、入所者の特性を考慮した設定としています。設定も簡単で、これまでよりも余裕を持って対応できており、入所者の安全な生活に寄与すると共に、「見られている」という精神的拘束感も和らいでいると思います。
今後は、生活リズムに課題のある入所者の睡眠のアセスメントを行い、生活リズム改善の為に、日中の活動量や睡眠導入剤などの評価、覚醒時の適切な排泄介助の介入などに役立てて行きたいと考えています。
【Wi-Fiインカムの導入】
2018年6月にナースコールの老朽化で新規への入れ替えを行いました。ナースコールが比較的新しかった為、Wi-Fiインカム(以下:インカム)との連携もスムーズに行えました。日勤帯では22名(相談員、管理栄養士、リハビリ、看護師、介護士)、夜勤帯では4名(看護師、介護士)の職員がインカムを持ち、ナースコール、眠りSCAN、徘徊感知器の対応が14台(日勤帯の看護師、介護士)のインカムで効率的に行える様になりました。また、インカムを通じて情報の共有化が図れ、体調不良者や入退所の情報が、業務を行いながら部署を超えてリアルタイムに把握出来るようになりました。
サービスステーションに足を運ばなくても、概要の把握が出来る様になった事と、前述のコール対応とも合わせると職員の移動距離はかなり短縮され、職員の身体的負担は軽減しています。
また、職員同士が接触する機会が減り、新型コロナウイルスの感染予防に役立っているとも考えております。
ナースコールは「命綱」に例えられる事があり、大切なコミュニケーションツールの一つです。
今回の眠りSCANの設置とインカムとの連携は、その相乗効果もあり、有意義で革新的な設備への更新で、入所者様の自立支援と、職員の雇用の継続に繋がる大切なツールと考えます。